趣味的プログラミングblog
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2025.01.24 Friday
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雪の思い出
2011.02.11 Friday
◆生まれて初めて冷凍スパゲティなるものを食べた。「レトルトのソース+自分で茹でた麺」の組み合わせに比べてクオリティ的に劣るのは仕方ないとして、レンジで温めるだけで食べられるというのはいい。このところ料理をするのが面倒臭くて・・・。
◆首都圏にこの冬初めての雪が。と言っても、大して降らなかったのだが。以前は二年に一度ぐらい、ドカッと降ったものである。大量に積もった朝は、必ず誰かが朝早くから雪掻きをしていて、登校/出勤する頃には道の両脇に堆く雪が積まれていた。
◆私が成人を迎える年度の「成人の日」(当時はまだ1月15日に固定されていた)の昼、私は自分の住むマンションの近くの、老夫婦が営む小さなラーメン屋で味噌ラーメンを食べていた記憶がある。中野で一人暮らしをしていたのだが、地元に戻ろうとは思わなかった。たまの休日ぐらい休ませてくれ、というのもあったし・・・大体、地元には友達がいなかったから、戻っても仕方がなかったのだ。成人式にも興味がなかった。IT関連の会社でプログラマーをやっていた頃。
◆靴底に付いた雪を落とし、店の中へ。客は私一人。取り敢えずカウンター席に座った。暖かな店内には石油ストーブの臭いと、テレビの音、そして店主夫妻の穏やかなやり取り。曇った眼鏡を拭く。ふと、裏口(と言ってもカウンター席のすぐ背後なのだが)から大きな綿菓子のような白猫が。のっそりと店内に入ると、こちらに興味を示す様子もなく、すたすたとストーブの前に歩いて行くやごろりと寝転んだ。「熱くないのかな」と思って見ていたら、こちらの顔が赤外線の直射で熱くなってきてしまった。
◆びっしりと結露した窓ガラスの向こう側に、高く盛られた雪の山がうっすらと見える。ガラス表面に析出した細かな水滴は、じっくりと時間をかけて集まり、やがて大きな水滴となって透明な軌跡を残しながら滑り降りてゆく。そこから雪の降る様子が覗けた。ヒラヒラと舞い落ちる大粒の牡丹雪。
◆「はいお待ち遠」。熱々の丼をカウンター越しに受け取り、右手と口で割り箸を割る。たっぷりと盛られた野菜をよそに、すかさず麺をすすり込むと、旨い。熱い。眼鏡が曇る。野菜を口に入れ、噛みしめると、キャベツのシャキシャキとした食感が歯から顎へと伝わる。そして、口の中に広がるコーンの甘みと香ばしさ。スープをすする。やはり熱い。鼻水が出てくる。旨かった。あっと言う間に食べ終えた。ポケットからティッシュを取り出し、鼻をかむ。
◆いや、旨いと言っても味自体は大したものではなく、流行に乗るとか新しい味を創出するとか、そういった今風のラーメン屋にありがちな意図とは全く無縁の、それこそ「普通の味噌ラーメン」なのだが、妙に懐かしいものを感じさせるのだ。丼も小洒落たものではなく、下町の中華屋によくあるようなフツーのもの。そののんびりとした雰囲気が気に入ってしまった。店の雰囲気が、もう旨い。そういうタイプの店。こだわりの一杯を食わせる店よりも、普通の一杯で穏やかな時間を過ごさせてくれる店の方が、私は好きである。
◆ふと見ると、白猫はストーブの前に寝転んだまま、気持よさそうに寝息を立てていた。味噌ラーメン、600円だったかな。
――と、ここまで書いておいて何だが・・・記録を調べると、どうもその日は雪が降っていなかったようなのだ。つまり、私の記憶に間違いがあったという事になる。とは言え、カンカンに炊かれたストーブと白猫は、絶対に記憶違いではない。成人の日にその店に寄り、味噌ラーメンを食べたのも。
結局、その店に入ったのはそれが最初で最後だった。そもそも平日は三食とも駅や職場近くで食べていたし、休みの日は出来るだけ自炊していたから、当時住んでいた辺りの飲食店の事は、実のところ殆ど知らなかったりする。中野は二年で離れた。
その店は、もうない。
◆首都圏にこの冬初めての雪が。と言っても、大して降らなかったのだが。以前は二年に一度ぐらい、ドカッと降ったものである。大量に積もった朝は、必ず誰かが朝早くから雪掻きをしていて、登校/出勤する頃には道の両脇に堆く雪が積まれていた。
◆私が成人を迎える年度の「成人の日」(当時はまだ1月15日に固定されていた)の昼、私は自分の住むマンションの近くの、老夫婦が営む小さなラーメン屋で味噌ラーメンを食べていた記憶がある。中野で一人暮らしをしていたのだが、地元に戻ろうとは思わなかった。たまの休日ぐらい休ませてくれ、というのもあったし・・・大体、地元には友達がいなかったから、戻っても仕方がなかったのだ。成人式にも興味がなかった。IT関連の会社でプログラマーをやっていた頃。
◆靴底に付いた雪を落とし、店の中へ。客は私一人。取り敢えずカウンター席に座った。暖かな店内には石油ストーブの臭いと、テレビの音、そして店主夫妻の穏やかなやり取り。曇った眼鏡を拭く。ふと、裏口(と言ってもカウンター席のすぐ背後なのだが)から大きな綿菓子のような白猫が。のっそりと店内に入ると、こちらに興味を示す様子もなく、すたすたとストーブの前に歩いて行くやごろりと寝転んだ。「熱くないのかな」と思って見ていたら、こちらの顔が赤外線の直射で熱くなってきてしまった。
◆びっしりと結露した窓ガラスの向こう側に、高く盛られた雪の山がうっすらと見える。ガラス表面に析出した細かな水滴は、じっくりと時間をかけて集まり、やがて大きな水滴となって透明な軌跡を残しながら滑り降りてゆく。そこから雪の降る様子が覗けた。ヒラヒラと舞い落ちる大粒の牡丹雪。
◆「はいお待ち遠」。熱々の丼をカウンター越しに受け取り、右手と口で割り箸を割る。たっぷりと盛られた野菜をよそに、すかさず麺をすすり込むと、旨い。熱い。眼鏡が曇る。野菜を口に入れ、噛みしめると、キャベツのシャキシャキとした食感が歯から顎へと伝わる。そして、口の中に広がるコーンの甘みと香ばしさ。スープをすする。やはり熱い。鼻水が出てくる。旨かった。あっと言う間に食べ終えた。ポケットからティッシュを取り出し、鼻をかむ。
◆いや、旨いと言っても味自体は大したものではなく、流行に乗るとか新しい味を創出するとか、そういった今風のラーメン屋にありがちな意図とは全く無縁の、それこそ「普通の味噌ラーメン」なのだが、妙に懐かしいものを感じさせるのだ。丼も小洒落たものではなく、下町の中華屋によくあるようなフツーのもの。そののんびりとした雰囲気が気に入ってしまった。店の雰囲気が、もう旨い。そういうタイプの店。こだわりの一杯を食わせる店よりも、普通の一杯で穏やかな時間を過ごさせてくれる店の方が、私は好きである。
◆ふと見ると、白猫はストーブの前に寝転んだまま、気持よさそうに寝息を立てていた。味噌ラーメン、600円だったかな。
――と、ここまで書いておいて何だが・・・記録を調べると、どうもその日は雪が降っていなかったようなのだ。つまり、私の記憶に間違いがあったという事になる。とは言え、カンカンに炊かれたストーブと白猫は、絶対に記憶違いではない。成人の日にその店に寄り、味噌ラーメンを食べたのも。
結局、その店に入ったのはそれが最初で最後だった。そもそも平日は三食とも駅や職場近くで食べていたし、休みの日は出来るだけ自炊していたから、当時住んでいた辺りの飲食店の事は、実のところ殆ど知らなかったりする。中野は二年で離れた。
その店は、もうない。
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